沙巴体育投注_沙巴体育官网-在线app下载の13人 第三回 金先生と内藤先生

みなさんこんにちは。まりものまりりんです。
夏休みはいかがお過ごしになられましたか?
後期が始まり、夏休みののんびりした気持ちが抜けない方もいらっしゃることでしょうが、気を引き締めて後期授業をがんばりましょう。

前期から続いております、こちらのコーナー。「鎌倉殿沙巴体育投注_沙巴体育官网-在线app下载の13人」。
後期も続けて参りますよ!きちんと13人ご紹介せねば終わることができません。
まりりんもがんばります。

第三回は近現代文学をご専門のお二人、金先生と内藤先生をご紹介します。お話を伺うのが楽しみです。

金先生は、今年度いらっしゃった新任の先生です。
日本近?現代文学、ポストコロニアル批評が専門分野です。
日本近現代文学と歴史の関係について研究、特に、戦争、法体制、震災、パンデミックなど、
文学の表現や読みに大きく影響を及ぼすような状況に関心をもっていらっしゃるとのことです。

では、さっそく質問を進めていきましょう。

―金先生は大学時代卒業論文をどんなテーマでお書きになられましたか?

大学と修士と韓国の大学だったのですが、沙巴体育投注_沙巴体育官网-在线app下载時代は卒論の代わりにTOEICの点数を提出して卒業しました。沙巴体育投注_沙巴体育官网-在线app下载も文沙巴体育投注_沙巴体育官网-在线app下载ではなかったのですよ。
修士では論文を書いたのですが、太宰治『パンドラの匣』について書きました。
敗戦直後のジェンダー表象について考えた論文です。

―現在の研究内容は、幅広くいろいろなことに関心を寄せて研究されていらっしゃるようにお見受けいたしますが、大学の卒論から現在に至るまでの経緯はどのようなものだったのでしょうか。

日本文学は、中学時代から韓国語に翻訳されたものを読んでいました。その時に日本語で読みたくなって、日本語の勉強も始めました。
しかし、それを大学で学ぶという発想はなく、なんとなく、文学は好きなものとしてとっておくというふうに考えていました。
でも、大学で日本文学の授業を取っているうちに、好きなものをこれからもずっとやりたいなと思って、進学を決めることになりました。
博士から日本に留学しています。
文学作品も好きですが、それを取り巻く歴史や、政治、法などの文脈を勉強するのが好きで、時代を少しずつ広げていったような気がします。
戦前、戦中から戦後へ、というふうに???

―すごいですね!中学時代から日本の文学を翻訳で読み始められたのですね。しかも日本語もそのころから学び始めていたとは…。
多くの日本人が英語で苦しんでいる頃に英語だけでなく日本語まで。さすがです。

―最近読んで面白かったおすすめの本を教えてください。

前期の授業で用いましたが、シリン?ネザマフィさんの「サラム」が面白かったです。
現代の戦争、紛争のことをあまり知らずにいる自分を反省させられましたし、もっと勉強しないといけないなと思いました。

―大妻の図書館にも多摩校舎の方に蔵書があるようです。授業を受けていない方はぜひ取り寄せて頂いて、読んでみてはいかがでしょうか。
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163284101

―休日の過ごし方はどうなさっていらっしゃいますか?

先週の週末は、国立歴史民俗博物館に行きました。
博物館、美術館に行くのが好きです。日常の空間と異なっていて、ぐるっと回るだけで、新たな発見があります。美術館のカフェでご飯を食べるのも好きです。
文学館も行きますが、こちらは、専門だから必死になるので、あまり気晴らしにならない感じがします 笑

―ミュージアムカフェ、素敵ですよね。それぞれの美術館に特色がありますから、カフェも独自の世界観を出していて、雰囲気を味わうのも楽しいですし、ご飯もおしゃれでおいしそうです。
先生はどちらのミュージアムカフェがおすすめですか?

私は地方の美術館が好きで、金沢の21世紀美術館と青森県立美術館に去年行きました。
(青森のカフェがすごくおいしいです。リンゴタルトがおいしいです 笑 三内丸山遺跡のすぐ近くですし~)
興味ある展示があればどこでもいきますが、最近は忙しくて全然行けてないんです

―金沢の21世紀美術館は、コロナに突入する前に研修旅行で計画していた行先だったので、いつか学生さんを連れていけるといいですね!
青森のリンゴタルト!探してみましたら、出てきました。


本当においしそうです。左下に見える赤い丸いものは、リンゴシャーベットでしょうかね!かわいらしい。
青森県立美術館は建物も素敵ですね。
三内丸山遺跡のすぐ近くとのことですから、観光にも便利な場所ですね。

金先生、どうもありがとうございました。

東日本大震災の年に日本にいらしたという、経歴を持つ金ヨンロン先生でした。
あの大変な時に、よくぞ日本にいらっしゃいました…。

さて、次は内藤先生にインタビューして参ります。
内藤先生は近代の先生方の中では杉浦先生の次に大妻歴が長い先生です。

内藤先生は、日本近?現代文学、ジェンダー論を専門分野として研究され、
ジェンダーとナショナリズムの関係をテーマに研究していらっしゃるそうです。
物語を成り立たせる差別の問題。なぜ物語が差別の構造を含みもつのか。女性身体や植民地、帝国、境界の表象を通して考察されてきたとのことです。

―内藤先生は大学時代卒業論文をどんなテーマでお書きになられたのですか?

物語と差別というテーマです。具体的には、「アイヌ」をめぐるイメージと物語を主題として卒論を書きました。
なぜ物語には差別的な設定が用いられるのだろうか、どうして物語のヒロインには不運や苦難が待ち受けているのだろうか、といった関心が、研究の出発点にありました。
物語の作られ方や、思いがけないきっかけで物語が誕生してしまう瞬間に、興味が向かっていたのだと思います。

―内藤先生は、韓国の研究者との交流や、昨年は今までとはまた違った二つの言葉(記号)を取り扱うテーマの著書も出版されていらっしゃると伺いましたが、大学時代に取り組んでいた研究内容と、現在の研究内容は大きく違ってきていますか?それとも、変わらない柱のようなものがあるのでしょうか。

近代の物語と差別というテーマを考えることは、必然的に帝国主義の暴力を考えることにつながってくるので、女性に対する暴力、植民地化の暴力、朝鮮半島と日本の関係性、といった研究テーマへと展開していったように思います。
いまは、ジェンダーの観点から、戦争や暴力、傷や痛みの記憶、性的消費や性暴力といった問題について考えることに取り組んでいます。
大きな研究テーマは変わりませんが、大学時代は、ひとつひとつの小説テクストを読解することより、近代の言説全体の構造をとらえたいと思っていたのに対して、今は、「小説の言葉」がもつ可能性への思い入れが強くなっているという変化があるかもしれません。

 

 

―最近読んで面白かったおすすめの本を教えてください。

斎藤真理子著『韓国文学の中心にあるもの』(イースト?プレス)。 話題作『82年生まれ、キム?ジヨン』の解説からはじまり、1945年の文学まで遡っていく内容になっています。文学を読むことの面白さから、歴史的な想像力をもつことの大切さを伝えてくれる一冊ですので、おすすめしたいです。

―休日の過ごし方はどうなさっていらっしゃいますか?

授業期間中は、授業準備や自分の研究のための調査や読書に追われ、あまりゆとりのある休日は過ごせていないですね。
ずっと韓国語の勉強をしているので、時間に余裕のある休日は、「学習のため…」という名目で韓国のドラマをけっこうたくさん観ています。

内藤先生、ありがとうございました。

9階の隣人、国際センター所属の延先生によりますと、内藤先生の韓国語レベルはネイティブ並みとのこと。(ご本人は笑って否定。真実は霧の中…)

多才で緻密な仕事ぶり。とても心優しく、授業や研究には容赦なく厳しい内藤千珠子先生でした。